講演・諮問


1. 人工知能活用法 講義概要

「機械は考えることができるのか」という問いをアラン・チューリングが投げかけたのは1950年のことでした。それから70余年が経った今、大学生たちは機械と対話しながらレポートを書き、面接の準備をし、論文の骨格を立てています。問いは変わりました。機械が考えられるかどうかではなく、この機械とどう一緒に考えるのか、です。この講義はその方法を探ります。

対象はコーディングを知らない学生、人工知能という言葉自体が馴染みのない学生、ChatGPTを使ったことはあるがコピー&ペースト以上に進めなかった学生です。

講義の第一段階は土台を築きます。チューリングテストからAlphaGoを経て生成型AIに至る流れを押さえ、機械学習とディープラーニングがデータを知能に変える構造を見ていきます。ChatGPT、Claude、Geminiといったツールの性格の違いもここで学びます。どのツールが良いかという問いより、どの状況にどのツールが合うかという判断力が重要です。

次の段階は実践です。メール一通を書くことから始まり、学術論文の資料収集、発表資料制作、YouTube動画編集、会議録自動作成まで範囲を広げていきます。NotebookLMで研究資料を整理し、Gammaでスライドを作り、Vrewで映像に字幕を入れる過程を実際に手で行います。ここで一つの原則が貫かれます。人工知能はハンマーです。家を建てるのは人間の仕事です。

その次は専攻別に分かれます。法学生は判例検討に、経営学生は市場分析に、医学生はデータ解釈に、工学生は設計補助にAIを引き入れます。就職準備も欠かせません。履歴書作成、自己PR戦略、模擬面接練習まで、AIが介入できる領域を一つずつ点検します。

最後の段階は顔を上げて遠くを見ます。AIが雇用を変え、著作権紛争を引き起こし、人間の定義そのものを揺るがす現実を討論します。EU AI Actのようなグローバル規制の輪郭も併せて読みます。期末プロジェクトとして学生各自が自分の分野でAIを活用して問題を解いた成果物を発表し、講義を締めくくります。

この講義が終わった後、学生たちに残るのは特定ツールの使い方ではありません。新しいツールが出たとき臆せず手を伸ばす習慣、そしてそのツールの成果物の前で自分の判断を手放さない姿勢です。


2. 国家戦略とガバナンス

人工知能が国家を再設計するという言葉は誇張ではありません。誇張ではないという根拠がこの三冊の本に収められています。

「AI行政革命」は16カ国の政府の現場を覗きます。中国はアルゴリズム登録制を作り、民間企業が使用するAIを国家が管理し始めました。EUはAI Actという名の法律でリスク度に応じてAIを分類する体系を立てました。米国は連邦レベルのAIイニシアティブを稼働させつつ、州ごとに異なる速度で進む分権型実験を続けています。この本が問うのは明確です。韓国政府はまだ紙の上で行政を行っているのに、世界はデータの上で国家を運営し始めたという事実です。

「AI覇権戦争」は視線をさらに高く上げます。米中間で繰り広げられる技術競争の本質は半導体チップではなく主権です。AI主権(Sovereign AI)という概念がなぜ登場したのか、AI基本法がなぜ必要なのか、ロボット税やAI配当という見慣れない言葉がなぜ政策議題に上がるのかを追跡します。この本には韓国固有の軸が一つあります。超少子化です。人口が減る国においてAIは選択ではなく生存の条件となります。労働力が不足する社会が技術でその空白を埋めようとするとき、どのような設計が必要か、この本はその問いに正面から答えようとします。

「人工知能選挙」は民主主義の心臓部に触れます。選挙は有権者の判断に頼る制度です。しかしその判断をAIが揺るがすことができるとしたらどうなるでしょうか。有権者の傾向を分析し、世論を設計し、候補者のイメージをアルゴリズムで調律することがすでに起こっています。ディープフェイク映像一本が選挙の局面を覆せる時代に、情報の信頼性をどう守るのか。この本は答えというより警告に近いものです。

三冊を貫く講義の核心はこうです。AIは企業の商品ではなく国家運営の基盤技術です。行政、立法、選挙という国家の三本柱がすべてこの技術と出会っており、その出会い方が国ごとに異なります。講義はその違いを比較しながら、韓国がどの道を選ぶべきかを受講生自身に判断させることに焦点を置きます。正解を与える講義ではありません。地図を広げる講義です。


3. 国防と安全保障

戦争の文法が変わりつつあります。操縦席に人がいない戦闘機が空を飛び、ドローン編隊が自ら隊形を組み、戦場のデータをリアルタイムで分析するAIが指揮官に判断の材料を渡します。三冊の本がこの変化の現場を扱います。

「人工知能戦闘機、人工知能空軍」は空から始まります。無人戦闘機の歴史は思ったより長いものです。しかしAIが搭載されてから性格が変わりました。過去の無人機は遠隔操縦でした。人が画面を見てボタンを押していました。今のAI戦闘機は自ら判断します。敵機の機動を予測し、回避経路を計算し、攻撃のタイミングを決定します。人間の反応速度では追いつけない領域に機械が入り込んだのです。この本はその技術の軌跡を追いながら、パイロットという職業の未来と空軍戦略の再編を併せて扱います。

「PALANTIR 戦争監視人工知能」は戦場の上ではなく戦場の裏側を覗きます。パランティア(Palantir)という会社の名前はトールキンの小説から来ています。遠くを見通す水晶球。名前の通りです。この会社の技術は膨大なデータをリアルタイムで集め、戦場全体を一目で見渡せるようにします。衛星写真、通信記録、ソーシャルメディア、ドローン映像を一つの画面に統合する作業をAIがこなします。問題はこの技術が戦場だけで使われるわけではないという点です。監視技術が権力と結びつくとき何が起こるのか、この本はその問いを避けません。

「AI国防革命」は空と裏側を含めた国防全体の絵を描きます。陸海空、サイバー、宇宙まで軍事領域全般にAIが浸透する流れを総合します。

このタイプの講義は技術解説にとどまりません。核心の問いは倫理です。機械が人を殺す判断を下せるのか。その判断の責任は誰にあるのか。自律兵器システム(LAWS)をめぐる国際的論争はまだ結論が出ていません。講義はその未決の状態をありのままに見せながら、技術の可能性と限界を同時に指摘します。


4. 時代の顔たち

技術は抽象的な力ではありません。誰かの決断、誰かの執念、誰かの失敗から生まれます。二冊の人物書がその具体的な顔を見せます。

「サム・アルトマン伝記」はChatGPTを世に送り出した人物の物語です。OpenAIの創業者でありCEOであるサム・アルトマンは、スタンフォードを中退しスタートアップアクセラレーターY Combinatorの代表を経てAIの中心に立ちました。この本が興味深いのは彼の成功談ではありません。取締役会で解任されてから五日で復帰した2023年の騒動、1,000億ドル規模のスターゲート・プロジェクト構想、汎用人工知能(AGI)という目標に向かうほとんど宗教的な確信。一人の人間の軌跡を追っていくと、この技術がどこに向かっているかが見えてきます。アルトマンという人物を読むことは、すなわちAI産業の内面を読むことです。

「ジェンスン・ファンの物語」は異なるタイプの人物です。台湾で生まれ9歳でアメリカに渡った少年が、世界で最も価値のある半導体企業を築きました。NVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・ファンです。彼の経歴には華やかなスタートがありません。デニーズ(Denny’s)レストランで共同創業者たちと事業計画を練ったのが始まりでした。ゲーム用グラフィックチップを作っていた会社がどのようにしてAI時代の核心インフラ企業になったのか、その転換の瞬間を本書は捉えます。2012年ディープラーニングの台頭を他に先駆けて読み取り、GPUがAI演算の標準になるという判断に会社の未来を賭けました。外れていれば会社は消えていた賭けでした。当たりました。

二人の人物を扱う講義の目的は英雄譚を伝えることにはありません。技術革命という巨大な流れの中で個人の判断がいかに大きな方向転換を生み出すかを示すことにあります。アルトマンはAIの可能性を信じて推し進めた人であり、ジェンスン・ファンはその可能性を物理的に実現するハードウェアを作った人です。ソフトウェアとハードウェア、ビジョンと実行。二つの軸が交わる地点で現在のAI時代が幕を開けました。講義はその交差点を読み取る目を養うことに焦点を置きます。


5. 法、倫理、人間の境界

AIが急速に広がるほど、遅れてついてくるものがあります。法です。そして法よりさらに遅いものがあります。私たちが人間という存在を定義する方式です。三冊の本がこの遅い領域を扱います。

「AIが人間に投げかける10の問い」はタイトルの通り問いの書です。ディープフェイクが作った映像が本物より説得力があるとき、真実とは何か。AIが医師より正確な診断を下すとき、信頼とは何か。アルゴリズムが採用を決定するとき、公正とは何か。十の問いそれぞれが一つの講義テーマになります。この本の選択は印象的です。答えを提示しませんでした。技術楽観論者が飛ばしてしまう問いを捉えて、受講生が自ら格闘する構造です。

「人工知能AI、法廷に立つ」は著者の経歴が本の重みを決めます。13年間検事として働いた人間が書いたAI法律書です。AIが証拠を分析し、量刑を提案し、判決文の草稿を作成する時代が来ています。すでに米国の一部の裁判所では再犯リスクをAIで算出しています。問題はそのアルゴリズムが偏見を含んでいるとき誰が責任を取るかということです。被告人がアルゴリズムの判断根拠を知る権利はあるのか。弁護人がアルゴリズムを反対尋問できるのか。既存の法体系では答えられない問いが法廷の中に押し寄せています。この本はその衝突地点を一つずつ指摘していきます。

「脳を読む人々」は境界線そのものに触れます。脳-コンピュータインターフェース(BCI)技術は思考だけで機械を操作することを可能にします。イーロン・マスクのNeuralink(ニューラリンク)が人間の頭蓋骨にチップを埋め込む臨床試験を開始しました。麻痺患者が思考だけでカーソルを動かす場面は感動的です。しかしその技術が健康な人の脳に入ったらどうなるでしょうか。記憶を保存し、感情を制御し、知能を増強することが可能になれば、そのときのその人はまだ同じ人間なのか。この本は「人間とは何か」という哲学の最も古い問いを最新技術の言葉で再び投げかけます。

このタイプの講義は情報伝達ではなく思考の訓練です。法律条文を暗記するのではなく、技術が法の空白を露わにする瞬間を捉える目を養います。人間の定義が揺らぐ地点を回避せず正面から見つめる姿勢を練習します。


6. 実用と教育

前述のタイプが思考の枠組みを立てるなら、このタイプは手を動かせます。

「Nano Banana Pro入門」はGoogle Gemini基盤の画像生成ツールを扱う実用書です。プロンプト一行で画像を作り出す経験は、初めて味わうと驚きます。テキストが絵になる過程を実際に手で行ってみると、生成型AIという言葉が初めて肌で感じられます。この本はツールの使い方を案内すると同時に、創作という行為の敷居が下がっている現実を見せます。専門のデザイナーでなくても、絵を学んだことがなくても、頭の中の場面を画面上に取り出せるようになったのです。

「AI教室、成績が変わる」は教育現場に入ります。AIが学習に介入する方法は多岐にわたります。学生の弱点を分析してカスタマイズされた問題を出題し、誤答のパターンを見つけて反復学習の方向を定め、外国語会話の練習相手にもなります。この本が扱うのは技術の羅列ではなく成果の変化です。同じ時間勉強しても結果が変わり得ること、その違いを生むのがAIツールの活用方法であることを具体的事例で示します。

二冊の共通点があります。参入障壁が低いことです。コーディングを知らなくても、AIの原理を理解していなくても始められます。このタイプの講義はその点を活かします。初回の授業で受講生全員が画像を一枚作ってみます。プロンプトを書き、結果を見て、プロンプトを直し、再び結果を見ます。その繰り返しの中でAIと対話する感覚が生まれます。

講義の後半では教育ツールとしてのAIを直接実験します。自分の専攻の試験問題をAIに作らせ、その問題の品質を自ら評価します。外国語学習にAI音声モードを活用してみて、既存の学習法と何が違うかを比較します。体験が先であり、分析はその後に来ます。

このタイプの講義が伝えようとしているのは技術の優位性ではありません。ツールを握った手の感覚です。ハンマーを初めて持った人は釘を打つのが下手です。十回打てばコツがつかめます。AIツールも変わりません。使ってみて初めて分かるのです。


7. 講義事例

2024年11月より高麗大学海商法研究センター、高麗大学経営大学院にて計5回のワークショップを実施し、仁川大学海上物流課程では生成型AIとデータ分析ツールをテーマに2回連続の教育を担当しました。東国大学文化課程の開講特別講義、国民大学法学館での講義も実施しました。

企業側では、ウミ建設にて契約書レビューへのAI活用方案を2時間講義し、ニューシス国際部にて海外ニュースモニタリングとファクトチェックにおけるAI活用法を教育しました。国際海運物流協会には6時間の対面集中教育を含む3回の反復教育を提供し、裁判所・検察・弁護士グループでも法律リサーチ自動化をテーマに講義しました。

15ヶ月間で計56件、大学・研究機関15件、企業・協会10件を消化し、実習中心の即座に適用可能な教育で再依頼率を高めてきました。


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